とことこ

おいしいものブログ

「或る一夜」「親友」「小品二つ」「老人」「不幸なる恋の話」「襖」「祖母の為に」「母の死と新しい母」「憶ひ出した事」「廿代一面」

志賀の短編に寄せる雑感です。

 

「或る一夜」

親友の武者小路実篤が失恋した時のことを題材にしているようですが、その辺は置いといて。

 

謙吉は友人の常道から失恋した旨の報告を受け、常道本人の頼みで共通の友人にもその結果を報告しに行くが、訪れた友人宅では絵に描いたような理想の結婚生活を目の当たりにし、そのギャップにモヤッとする。

 

常道の恋愛がどういうものだったのか説明されていないので、いまいち感情移入しにくいものの、不幸を共有しようと思った相手の幸福にあてられて面白くない気分になるのは、わかりますよね。

 

「親友」

神嘗祭の日に兵舎近くの床屋が書入れ日になるのはどういうこと? 警備とかしてた感じ??

 

「小品二つ」

勝手に他人の人生を想像して自分の下と見做し侮辱の言葉を投げかけるという品性下劣な行為、人類が滅亡しない限り無くならないんだろうなぁ。

 

「老人」

こうでこうでこうでした~って出来事を羅列して、台詞もなけりゃ心情の描写も最小限みたいな短いの、好きです。内容としては、当時はよくあったお話でしょうね、としか。

 

「不幸なる恋の話」

叔父さんに勧められた縁談を断る話

まだ結婚もしていない、恋人でもない異性が家に泊まりにきて、その身の回りの世話をさせられるの、現代の感覚じゃかなり嫌ですね!! 試験かよって感じ。(そうです)

 

「襖」

旅行先で隣の部屋に滞在していた家族と交流するうちに、子守の鈴という娘から好意を向けられた……という自慢話を聞かされる私。それだけ!

 

「祖母の為に」

志賀と育ての親であるおばあちゃんとの晩年のお話

お互い良い思い出・良い感情ばかりじゃないけど、大事な家族なんだってことが素直に伝わってきます。(志賀はおじいちゃんも大好き)

 

白っ児』とは若白髪のことかと思ったんですが、どうやら白斑かアルビノを指している……? 古い作品ではこうした今じゃNGになる呼称がたくさん出てきますよね。

 

「母の死と新しい母」

ほぼノンフィクション。生母が悪阻をこじらせて亡くなり、その後まもなく父は再婚。美しい、新しい母を、私は素直に喜ぶ。

 

長男の志賀 (実際には上に兄がいたが早世している) だけが前妻の子で、後にきょうだいが6人できたのですが、年の差がかなりあったので、下の方の子らは長らく志賀が異腹の兄だということを知らずに過ごしていたそうです。(余談)

 

「憶ひ出した事」

小説と言うか覚書って感じですね。(タイトルもそうなってる)

相馬事件(ググってみて!)の頃の志賀家の様子を伝えてくれる資料です。収監されていたおじいちゃんが帰ってきて大泣きしちゃう志賀少年、かわいい。

 

「廿代一面」

結構長い割に何も伝わってこなかった。悩み深いボンボンたちが旅行したりしつつあれこれ語り合ったり……する(適当)

 

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